医療現場や大きな組織で重大事故を防ぐ考え方「スイスチーズモデル」
日本人にとってスイスチーズは馴染みがありませんが、考え方はいたってシンプルです。
本来は事故の許されない大きな組織で使われる考え方ですが、個人に当てはめても日常のうっかりミスからの事故を防ぐことができると思います。
英国心理学者のジェームズ・リーズンが提唱
ヒューマンエラーの第一人者のジェームズ・リーズン。
ジェームズ・リーズン(James Reason)は1938年5月1日生まれ。
英国ワトフォード出身の心理学者・ヒューマンエラーの研究者。学歴は英国マンチェスター大学。代表書籍として『組織事故』がある。
ヒューマン・エラーとは「人が起こすミスのこと」
仕事でも日常生活でもミスはつきものです。
そのミスから起きる事故を研究されている方です。
今回はその中から【スイスチーズモデル】を紹介します。
【スイスチーズモデル】とは?
事故が起きるときは、その前の小さなミスが連鎖することで生じると考えられています。
その概念を図式化したものが【スイスチーズモデル】です。
チーズは防御策、チーズの穴は小さなミスにたとえています。

大きな組織や病院では、重大事故が起きないようにいくつか防御策を用意しています。
個人で考えれば、目覚まし時計を複数セットするようなイメージですね。

どれか1つのアラーム(防御策)で目が覚めれば、寝坊(事故)はしません。
つまり、いくつかの防御策のうちどれか1つに引っかかれば事故は防げます。
事故を防ぐにはどうしたらいい?
仕事や日常生活で考えられるチーズの穴の原因は主に3つ
- 思い違い、勘違い
- 規定ルールの違反
- システムの不整備
思い違いや勘違い、ルール違反は人為的なミスはヒューマンエラーと呼ばれます。
ほとんどのミスはこのヒューマンエラーであることが多いといえるでしょう。
ヒューマンエラーを減らすことは、チーズの穴の数を減らし穴の大きさも小さくすることにつながります。
また、システムの不整備はチーズの枚数に関わります。
システムを構築して、チーズの枚数を増やすことも事故防止につながります。
チーズの穴を小さくする「フールプルーフ」
ヒューマンエラーを防ぐ方法として「フールプルーフ(fool proof)」があります。
フールプルーフとは、間違った操作をしようとしてもミスが実行されない設定になっている物を指します
フールプルーフの例では、
- 洗濯機→蓋を閉めないと回らない
- 自動車→ブレーキを踏まないと、ギアがドライブに入らない
- スマホ→ボタンの同時押ししないと電源が落ちない
これらの機能はヒューマンエラーを防ぐのに役立ちます。
筋トレでの応用では、壁や器具でカラダを抑えることで間違ったフォームにならないようにします。
チーズの枚数を増やす
チーズの枚数を増やす方法としてはシステムの構築が挙げられます。

システムの構築というと難しいような気がしますが、簡単にできるものはダブルチェックです。
同じシステムでも異なる人がチェックすることで、思い込みや勘違いなどを防ぐことができますね。
また違う目線からチェックすることができれば、さらに効率的に事故を防ぐことができます。
まとめ
ミスの許されない医療現場では特にこのダブルチェックが重要視されています。
仕事だけでなく、日頃のうっかりミスが多い人もチーズの穴を埋めたり、チーズの枚数を増やすことを考えてみてください。
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